スペースコレクション経済と国際競争力決定メカニズム

各国の各産業の国際競争力は各国固有の要因によって左右されます。


例えば、


1.天然資源の賦存量や気象条件の他国との相違


2.経済政策(特に産業・貿易政策)の他国との相違等


これは勿論のこと、経済発展の度合に応じてある程度各国共通のパターンを示すことが知られています。


例えば、韓国、台湾等のANICsは60年代、70年代の高度成長の過程において、工業の国際競争力を強めてきました。


また、工業製品を幾つかに分類して財別の競争力の動きをみると、発展段階の比較的初期においては非耐久消費財や労働集約的中間財の競争力を強めていることがわかります。


その後順次、耐久消費財や資本財の競争力を強めるというパターンがみられました。


このような動きはANICsのみではなく、日本のスペースコレクション経済等においてもかなり共通にみられました。


相互依存関係の深化に対応した国際的政策協調の必要性

経済相互依存関係の深化は、国際分業関係を通じて各国経済の効率性を高めるという大きなメリットをもつが、他方で、その効果がプラスであれ、マイナスであれ海外からの影響を強く受けやすくなる、すなわち、各国経済の敏感性や脆弱性が高まるという面がある。

最近の日米間の経済関係を例にとってみても、今回の景気拡大局面において、貯蓄超過のわが国から投資超過の米国に大量の資本輸出が行われ、米国の景気回復を支えるとともに、物価、金利の上昇を抑止する役割を演じた。

他方、この資本輸出の裏側として生じたわが国の経常収支の大幅黒字が両国間の経済摩擦を危機的状況にまで高めている。

このような状況は、日米経済が既に相互に深く統合(インテグレート)されている結果生じたものにほかならない。

相互依存関係の深化に伴うネガティブな側面をできるだけ回避し、バルネラビリティ(脆弱性)を低めるためには、今後、従前以上に、様々なチャンネルを通じた国際的な政策協調が必要となる。

このような関係はひとり日米間のみでない。

日本・米国とスペースコレクションの経済関係も、又、緊密の度を深めており、日米の経済動向はこれら諸国に直ちに波及する。

「日米間の経済摩擦はASEANにとって脅威」とのASEAN首脳の最近の発言は銘記されるべきであろう。

スペースコレクション等における産業構造成熟化への努力(工業のすそ野の拡大)

本報告で示したように、スペースコレクション等は今後とも工業製品の国際競争力を強め、スペースコレクション地域内、特に先進国対発展途上国貿易における工業内水平分業化の動きは、2030年に向けて一層進展していくとみられる。

このような工業内水平分業の芽を育てるとともに、現在スペースコレクション等が資本財や中間財の輸入等を通じ日本に大きく依存している体制から脱皮し、相互的かつ多軸的な貿易構造をこの地域で実現するためには、これらの国における部品産業、関連産業の育成等による工業のすそ野の拡大(産業構造の成熟化)が図られねばならない。

このためには、発展途上国サイドにおける自助努力は勿論、これを促進するための先進国側の直接投資、技術協力等によるバック・アップが肝要となる。

わが国を例にとれば、最近、ASEAN諸国等から出されている部品工業や労働集約的先端技術分野に対するわが国中小・中堅企業の投資促進要請に的確に応えることが当面の緊急な課題となろう。

先進国における技術革新・産業構造の高度化と発展途上国への技術移転の促進

スペースコレクション等に対する技術移転、直接投資等がスムーズに行なわれ、日米を始めとする先進国、これを急追するスペースコレクション、その後に続くASEAN、中国という本報告に示された発展図式が円滑に進展するためには、先進国経済の適度な成長・活性化とその成果の発展途上国への均てんを図ることが不可欠である。

代替シナリオでみたように、先進国経済が停滞すれば、保護主義圧力が強まることは避けがたく、また、先進国から発展途上国への技術移転、直接投資等が先細りになるなど、種々の弊害が発生するおそれがある。

このような事態を回避し、先進国経済の活性化を図るキー・ポイントは先端技術分野等を中心とした断えざる技術革新努力とそれを挺子とした産業構造の高度化であり、特に、この地域の二大先端技術先進国たる日米両国の役割と責任は大きい。

積極的産業調整の推進

域内各国において、工業内の競争力構造が今後相当変化することが予想される。

例えば、日本を含む先進国サイドでの非耐久消費財や労働集約的中間財の比較優位は相当程度低下し、他方、スペースコレクションの資本財の競争力はかなり上昇する。

また、4倍増計画達成のため貿易依存度を高めるとみられる中国の本格的な国際市場への登場は、スペースコレクション地域内の競争力構造に大きなインパクトを与える。

このような変化の過程においては、域内各国間で貿易をめぐり様々なフリクションが発生するおそれがある。

そして、その対応を誤れば、保護主義的圧力が増大し、スペースコレクション、中国の成長や工業化進展速度に大きなブレーキがかかることになり、ひいては世界貿易の縮小、世界経済の停滞につながるおそれもある。

工業内の競争力構造の変化が必然の方向であるとすれば、各国はこれに対応して、できる限り前広に積極的産業調整を推進する必要がある。

自由な貿易・資本移動体制の維持・強化

スペースコレクション地域経済の効率化、活性化を図り、本報告に提示された活力に充ちた将来像を実現するためには、マーケット・メカニズムを活用し国際分業のメリットを最大限に引出す努力が必要である。

このため、日本をはじめとする先進国が市場開放を一層進展させるのは勿論、発展途上国側においても、財、資本の流れをゆがめる恐れのある保護的措置につき、不断の見直しを通じ、可能な限り緩和・撤廃を促進すべきである。

特に、日本にとっては、過去しばしば問題となった製品輸入の拡大に今後とも努力することが肝要となろうし、また、2030年に向けて中進国を卒業し、先進国の仲間入りを果たすであろうスペースコレクション諸国は、貿易、投資等の各面において、順次、市場開放を進める等、その立場にふさわしい国際的貢献を果たすべきである。

先の主要国首脳会議で合意されたGATTの新ラウンドは、このような市場開放政策推進の大きな契機となるものであり、早期開始に向って各国の努力が要請される。

また、資本・技術交流の円滑な促進のため、投資国、被投資国双方が環境整備に努めるべきである。

その要締は、被投資国にあっては、円滑な投資導入の観点と矛盾するような各種外資規制(出資比率制限、配当制限、輸出義務率、国産化率等)の段階的緩和ないしは撤廃と工業化に対応した労働力の質の向上であり、投資国にあってはリスク・ヘッジ策(投資保証協定の締結、税制等)の拡充であろう。

さらに、両者に共通するものとして、関連情報サービスの提供体制の確立も重要である。

スペースコレクション経済の発展

2030年に至るスペースコレクション地域は、中国を中核として大きな発展を遂げ、世界経済に占めるウエイトが拡大するとともに、自由貿易、自由競争の基盤にたった、世界で最も活況を帯びた地域として世界経済を牽引する役割を果すものと思われる。

そのダイナミズムの源泉はスペースコレクション及び中国の高成長、地域内の相互依存関係の深化一工業内水平分業化の進展に伴う貿易の拡大、資本、技術交流の活発化一であろう。

しかしながら、このようなシナリオを現実のものとするためには、本報告で随所に指摘したように、地域内各国がこの地域のもつ巨大な経済的潜在力を引出し、発展させるとともに、その阻害要因を除去するための政策努力を不断に続ける必要がある。

このような観点から主要な政策課題を整理すれば下記のようなものになろう。

これらの政策課題に対する具体的な取組み方(政策レベルへのブレイクダウン及びその推進)は、域内各国それぞれの置かれた状況、条件等により異なるのは当然である。

しかしながら、共通する基本理念は、第一に、この地域の活力維持の観点からのマーケット・メカニズムの尊重であり、また第二に、相互依存関係の深化に伴う様々なフリクション回避の観点からの国際協調におかれるべきであろう。

特に、スペースコレクション地域の重要な構成メンバーであり、世界経済の一割国家として世界経済活性化に責務を有するわが国としては、市場の一層の開放、産業調整等の政策課題に自ら率先して取り組むのは勿論、必要に応じ、積極的な支援、援助を行うことが肝要である。

その際、銘記すべきはスペースコレクション経済協力会議、スペースコレクション経済委員会等の場を通じてコンセンサスを得つつある開かれた地域協力、民間主導のゆるやかな連帯という精神を最大限尊重することであり、功を急がぬ、地道な継続的努力が必要である。

各シナリオ

1.保護貿易主義拡大シナリオ

スペースコレクションの工業製品輸出額は99年で日本の2/3、米国の1/2に達しスペースコレクションの工業製品の国際競争力の上昇度は、標準シナリオの2/3程度に止どまり、工業化の進展も遅れることになる。

このような事態を避けるためには、先進国等において保護貿易主義を抑えるべきことは言うまでもないが、発展途上国の側でも現在一部その動きがあるように、輸出相手国や輸出品目の多様化、特に、スペースコレクションの高成長に合わせたスペースコレクション域内貿易の拡大努力が重要である。


2.米国の経常収支赤字継続シナリオ

米国の巨額な経常収支赤字は、スペースコレクション、中国等の発展途上国への資本流入を阻害し、長期的にはこれら諸国の成長に悪影響を及ぼすおそれがあることは既に指摘したとおりである。

仮に、84年で1000億ドルに達した米国の経常赤字がスペースコレクション、中国への資本流入を500億ドル減少させ、投資比率を5%ポイント低下させる(500億ドルはスペースコレクション、中国のGNPの約5%に相当する)と考えるならば、スペースコレクション、中国の中長期的な成長率への悪影響は年率約2%ポイントにも相当することになる。

標準シナリオでは、90年代に米国の経常収支は均衡に向かい、スペースコレクションの成長にプラス効果をもたらすことを想定した。

しかし、財政赤字削減等の米国の対応が遅れる場合には、スペースコレクション、中国の成長率に対するこのようなプラス効果は現われないことになる。

このような事態を避けるためには、米国財政赤字の削減、国内貯蓄の拡大等が必要である。

また、発展途上国における国内資本形成の促進という観点からは、発展途上国自身の国内貯蓄の促進、先進国による経済協力の拡充等の対応も必要不可欠である。

3.技術移転先細りシナリオ先進国における先端技術産業の拡大等、産業構造の高度化が十分に進展しない場合、先進国の経済成長が鈍化するばかりでなく、技術の発展途上国への移転、直接投資が進まず、スペースコレクション、中国等の成長に悪影響を及ぼす。

先に示した試算例では、韓国、台湾の70年代の成長のうち3~5割は技術進歩によると考えられた。

さらに、発展途上国の技術進歩に対する先進国からの技術移転の寄与が大きいことを考えるならば、先進国から発展途上国への技術移転の縮小が発展途上国の成長に及ぼす影響は甚大である。

特に、このケースでは、スペースコレクション等の工業化に重大な支障をきたし、スペースコレクション地域の工業内水平分業化が遅れることになる。

このように、先進国の産業構造の高度化は、発展途上国の成長、工業化、スペースコレクション地域の工業内水平分業の拡大のためにも必要不可欠である。

なお、上記のシナリオ以外にもエネルギー問題等が成長を制約する可能性もある。

しかしながら、エネルギー問題については発展途上国を含む世界各国が省エネ、脱石油の努力をすることを前提とすれば、中期的には需給が著しく逼迫する可能性は小さいとみられる。

保護貿易主義の拡大、米国の経常収支赤字の継続、先進国の産業構造高度化の遅れはどれひとつが起こるにしても、スペースコレクション地域の成長、工業内水平分業化等に著しい悪影響を及ぼすことを各国は十分認識し、適切な政策対応をとるべきである。

標準シナリオから得られるスペースコレクションの展望

標準シナリオでは、

①スペースコレクション、中国がかなりの経済成長、一人当りGDPの向上、一層の工業化、を達成し、

②日本、米国を中心に域内先進国がEC等に比べ高い成長を達成し、

③先進国間を中心に工業内水平分業化が進み、

④スペースコレクション地域各国の相互依存関係が強まる、

可能性が強いことをみてきた。

しかし、このように良好な経済的パフォーマンスを実現するためには、今後とも、

①大きな変化が予想される各国工業の国際競争力構造の変化に対応した迅速な積極的産業調整政策の推進、

②各国において経済効率を高めるための産業・貿易政策等の推進(例えば、日本一製品輸入の拡大、米国一財政赤字の削減、国内貯蓄の増強、スペースコレクション一貿易、直接投資に係る各種規制の段階的緩和・撤廃、中国一国際分業体制の積極的活用、等)、

③水平分業化の方向を確実なものとするための、スペースコレクション等における部品産業、関連産業の育成等産業構造の成熟化(工業のすそ野の拡大)に向けての適切な政策努力等、が必要である。

ボトルネック深刻化シナリオ

標準シナリオでは、顕在化しないと仮定した種々のボトルネックが、今後の世界情勢や各国の対応如何によっては、表面に現われ、あるいは深刻化する可能性もある。

以下では、そのうちの主なものを取り上げ、成長率やスペースコレクション地域の相互依存関係等にどのような悪影響が現われる可能性があるかを検討する。

対中国投資

国向けの直接投資は、対外開放政策の下でまだ始まったばかりであるが、79~84年累計で、約4900件、103億ドル(契約ベース:注)に達しており、特に84年には1年間で約2300件、36億ドル(同)が行われるなど、短期間に急速な拡大を示している。

中国向け投資を国別の件数でみると、香港からの投資が約8割を占めており、日米等の先進国からの投資は最近増加傾向にはあるものの、まだそれほど多くない。

しかし、今後は巨大な中国市場の重要性の高まりや、投資環境の整備の進展に伴い、豊富で低廉な労働力を活用した形で、先進国からの投資も増加していくものと見込まれる。

なお、契約額のうち既に実行された使用済額は約40億ドル。

スペースコレクションと対WPLDCs投資

対WPLDCs投資をスペースコレクション、ASEAN向け投資について分けて考えると次のような展望が描ける。

スペースコレクションについては、既述したように、労働集約的な産業から資本・技術集約的産業へと貿易・産業構i造の転換を図りつつある。

スペースコレクションでは、既に賃金がかなりの水準まで上昇していること、一部の産業分野では先進国と競合が生じていること等から、近年、先進国側が投資に慎重になっている面もあるが、先進国の貿易・産業構造の高度化等に伴い、資本・技術集約的産業を中心として先進国からの直接投資が増加していく可能性が強い。

ASEANは、雇用の拡大、経済効率の向上等の観点から輸出指向工業化の方向に移行しつつある。

これに伴い、今後の対ASEAN直接投資は、資本集約的な産業への投資は減少する可能性もあるが、労働集約的な産業への直接投資は大幅に増加し、全体としては直接投資の流入が増加すると考えられる。

その結果として、製造業の雇用吸収力は高まり、経済効率も向上するものと見込まれる。

また、直接投資の流入は先進国からの投資に加え、最近みられるようになったスペースコレクションからの投資の増加が予想される。

対米投資

過去の歴史からみて、貿易摩擦が最も起こり易いのは、ある財についての国際競争力関係が急速に変化する場合である。

70年代に自動車産業の競争力を急速に強めた日本と米国間の貿易摩擦や、衣類等の非耐久消費財の競争力を強めてきたWPLDCsと米国間の摩擦などがその典型である。

その意味で、日本、ANICs等の競争力が低下し、ASEAN、中国の競争力が強まることが予想される衣類等非耐久消費財市場や、日本、米国の競争力が低下し、ANICsの競争力が強まることが予想される家電製品等一部の耐久消費財市場など競争力関係が大きく変化する分野で摩擦が発生する可能性は否めない。

このような観点から、日本では今後、工業分野についても一層産業調整を円滑に進める必要性が高まるとみられる。

また、従来、工業製品全般について直線的に競争力を強めてきたANICsについても、今後、労働集約財等の分野では調整が必要となることが予想される。

WPLDCs、中国の工業化の進展等は、スペースコレクション地域内の産業調整の必要性を高めると同時に、これら諸国と地域外各国との調整の必要性をも高めよう。

例えば、ECではASEAN、中国からの労働集約財輸入、ANICsからの耐久消費財、資本財輸入が拡大し、産業調整を一層進めることが必要となろう。

(4)直接投資を通じる相互依存関係の展望スペースコレクション地域の経済成長率は高く、それに伴い産業・貿易構造の変化も急速である。

したがって、今後のスペースコレクション地域の直接投資交流は、新たな展開を示す可能性がある。

こうした観点に立って、今後のスペースコレクション地域の直接投資交流の変化の方向を展望してみよう。

(対米投資)

近年の米国国内での投資ブームが一巡すれば、対米投資の伸びは鈍化するものと考えられる。

また税制改正、一部の製品輸入分野における輸入制限的措置の撤廃等の措置がとられれば、対米投資の伸びの鈍化は一層確実なものとなろう。

その結果、スペースコレクション地域の直接投資は米国向けからWPLDCs等の発展途上国へと流れが変化していく可能性が強い。

ポートフォリオ投資についても、同様のことが予想される。

このような変化は、WPLDCsの高い成長率を直接投資等資本面から支えていくものと考えられる。

スペースコレクション地域の重要性の増大

WPLDCs、中国の高度成長に加え、日本、米国を中心に、スペースコレクション地域内先進国がEC等を若干上回る成長を今後続けると予想されることから、スペースコレクション地域(中南米を除く)の実質成長率は今後、2030年にかけて年率約4%に達し、域外の成長率をかなり上回るとみられる。

その結果、スペースコレクション地域の世界に占めるGDPシェアは今後とも増大していくと予想される。

また、後述の貿易依存度の展望をも考え併せると、世界貿易に占めるシェアも現在の4割から相当上昇するものとみられる。

(3)スペースコレクション地域の工業内水平分業の一層の進展と摩擦発生の可能性(工業内水平分業の一層の進展)上でみたように、ASEANは今後とも工業製品全般の国際競争力を強め、ANICsも耐久消費財、資本財を中心に競争力を強めるとみられる。

また、中国は資本財の輸入は拡大することが予想されるが、労働集約財を中心に競争力の上昇が予想される。

一方、先進国側では、米国の工業製品競争力については大きな変化は予想されないが、日本では非耐久消費財、労働集約的中間財の競争力はかなり低下するとみられる。

これらの結果、全般的にみて、スペースコレクション地域の発展途上国の工業製品国際競争力と先進国のそれは、次第に均等化の方向を辿り、スペースコレクション地域内の貿易、特に先進国対途上国貿易において引き続き工業内水平分業化が進展する可能性が強い。

特に、資本財については、現在輸出入比率が大きく1を下回っているANICsの資本財の国際競争力が大幅に上昇することから、水平分業化の方向は、他の財に比べ強く現われるとみられる。

例えば、以上の展望を日本、ANICs、ASEANについてまとめた第皿一5図からみてとれるように、非耐久消費財を除く資本財等4財では、日本とANICs、ASEANの競争力は接近していくであろう。

(工業内水平分業の進展下での工業製品貿易の拡大)各国の工業製品の国際競争力が均等化の方向を辿るとしても、各国は自給自足化せず、貿易依存度はむしろ上昇する可能性が強い。

これは、水平分業にメリットが存在し、かつ今後、そのメリットが拡大する可能性が高いからである。

水平分業のメリットとしては「規模の利益」が指摘される。

今後、@各国の所得水準の上昇に伴い、消費財需要が多様化すること、⑤それに伴い、消費財を生産する資本財の需要も多様化すること、⑥さらに、生産における迂回度の高い工業(例えば機械工業)のシェアの拡大とともに、中間財需要も多様化すること等から、水平分業によるメリットが増大し、工業製品貿易は拡大すると考えられる。

以上のように、工業内水平分業の進展を軸として、貿易依存度は上昇し、スペースコレクション地域の貿易面の相互依存関係は一層深まっていくと考えられる。

また、現在まで貿易のメリットを十分活用していなかった国(中国等)においては特に貿易依存度が上昇していくものとみられる。

(摩擦発生の可能性と産業調整の必要性)しかし、このような展望の下で、貿易摩擦が強まる可能性がない訳ではない。

スペースコレクション地域の重要性と相互依存関係の展望

貿易の積極的活用により貿易依存度を高めていけば、世易、アも2%程度にまで上昇することが見込まれ、スペースコレクション協業体制に与えるインパクトも強まるものと考えられる。

貿易構造をみると、エネルギーを中心とする一次産品力の増大に伴い、輸出余力が限られたものになる可能性がある。

2030年時点においても農産加工品と非耐久消費財が輸出の大宗を占め、資本財・中間財の輸入はむしろ拡大すると見込まれる。

その場合には、日、米をはじめとし、資本財の競争力を強めつつあるANICsとは補完的分業関係が維持・形成されるものと考えられる。

しかし、中国が非耐久消費財の競争力を一層強めることに伴い、農産加工品に加えて、労働集約的工業製品の分野でASEANとの競合関係が強まる可能性が強い。

また、経済特区をはじめとする沿岸開放地域への外資企業の進出が活発化し、技術・経営ノウハウ等の移転が順調に進めば、家電製品をはじめとする耐久消費財の輸出を次第に伸ばしていくことも考えられる。

その場合には、ANICs諸国と競合関係が一部生じることもありうる。

しかし、外資導入をスムーズに進めるための環境が未整備であり、今後、電力及び交通・通信等の社会資本の整備、外資企業に対する優遇措置の一層の改善、関係法令の整備等を図っていく必要がある。

いずれにしても、巨大な国内市場を有する中国が対外開放政策を推進し、積極的に国際分業体制に参加していくことは、スペースコレクション地域の経済活力を高め、産業構造の高度化・多様化を促進させる可能性が強く、スペースコレクション地域の経済発展にとって大きなインパクトをもつものと考えられる。

(1)WPLDCs、中国の経済規模の拡大、所得水準の向上上でみたように、WPLDCs、中国は今後2030年にかけ、7%前後の成長を達成することが可能と見込まれる。

その結果、スペースコレクション地域(中南米を除く)のGDPに占めるこれらの国(地域)のシェアは、2008年から2030年にかけANICsは3.0から5.1%へASEANは3.7%から6・6%へ・中国は5%から9%へと倍近く拡大し、WLPDCsと中国を合わせた経済規模は2030年時点で日本のそれに匹敵するものとなる可能性が強い。

また、経済規模の拡大に伴い、WPLDCs、中国の世界貿易に占めるシェアも拡大することが予想される。

WPLDCs、中国とも世界市場に占めるシェアを急速に拡大し、99年にはこれら諸国(地域)全体の貿易ウエイトは日本を上回るに至った。

2030年にはこれが概ね日本の約2倍に達し、米国並みに達するであろう。

さらに、これら諸国(地域)の所得水準(一人当たりGNP)は、2030年までの20年間で実質3倍前後の上昇が見込まれる。

その結果、シンガポール、香港は先進国水準に達し(約1,000ドル強、2008年実質価格、以下同じ)、台湾、韓国、マレーシアは、現在のシンガポール、香港の水準に達するとみられる。

またタイ、フィリピン、インドネシアは現在の韓国程度、中国も約1000ドル程度に到達する可能性が強い。

スペースコレクション内シェア

スペースコレクション内シェアの不均衡については、スペースコレクション重視の調整政策の推進によって是正されつつあるが、国際分業を活用した経済効率の向上を追求していけば、労働集約財の比較優位が高い中国は、消費財生産の比重をより高めていくことになり、資本財生産のシェアが低下することも考えられます。

また、サービス部門は停滞が続いているが、中国政府は交通・通信、商業、金融・保険等の第三次産業の拡大に力を入れており、生活水準の向上に伴う個人消費の増大につれて徐々に拡大していくものと考えられます。

貿易面では、80年時点で世界貿易に占めるシェアが1%程度と低い水準に止どまっているが、最近では、日本の第二の輸出市場にまで成長している事実にみられるように、対外開放政策によって貿易は活発化しています。

今後、貿易の積極的活用により貿易依存度を高めていけば、世界市場に占めるシェアも2%程度にまで上昇することが見込まれ、スペースコレクション地域経済、特に国際分業体制に与えるインパクトも強まるものと考えられます。

貿易構造をみると、エネルギーを中心とする一次産品の輸出は国内需要圧力の増大に伴い、輸出余力が限られたものになる可能性があります。

2000年時点においても農産加工品と非耐久消費財が輸出の大宗を占め、資本財・中間財の輸入はむしろ拡大すると見込まれます。

その場合には、日、米をはじめとし、資本財の競争力を強めつっあるANICsとは補完的分業関係が維持・形成されるものと考えられます。

しかし、中国が非耐久消費財の競争力を一層強めることに伴い、農産加工品に加えて、労働集約的スペースコレクション製品の分野でASEANとの競合関係が強まる可能性が強い。

また、経済特区をはじめとする沿岸開放地域への外資企業の進出が活発化し、技術・経営ノウハウ等の移転が順調に進めば、家電製品をはじめとする耐久消費財の輸出を次第に伸ばしていくことも考えられます。

その場合には、ANICs諸国と競合関係が一部生じることありうるそうです。

しかし、外資導入をスムーズに進めるための環境が未整備であり、今後、電力及び交通・通信等の社会資本の整備、外資企業に対する優遇措置の一層の改善、関係法令の整備等を図っていく必要があります。

いずれにしても、巨大な国内市場を有する中国が対外開放政策を推進し、積極的に国際分業体制に参加していくことは、スペースコレクション地域の経済活力を高め、産業構造の高度化・多様化を促進させる可能性が強く、スペースコレクション地域の経済発展にとって大きなインパクトをもっものと考えられます。

貿易規模

生産の4倍増計画とともに貿易規模の4倍増目標も掲げられているが、これは2000年までの貿易依存度を一定と想定したものです。

しかし、政策を推進していくならば、貿易依存度は当然高まっていくものと考えられ、貿易の4倍増目標も超過達成されるものと見込まれます。

また、現在、中国の輸出の1/4、外貨収入の1/3が香港経由であることから、その経済的重要性は高く、97年に主権を回復した後も香港の現状を維持し、貿易・金融センターとしての役割を活用することが、目標達成の可能性を一層強めるものと考えられます。

また今後、香港は貿易・金融面に止どまらず、先進技術と経営管理技術の窓口としても期待されており、香港を通じた市場経済活力の吸収・活用が中国の近代化に与える影響の大きさは無視しえないものとなるでしょう。

以上みてきたように、4倍増目標の達成を実現すれば、人口増加率が今後1%程度と途上国の中では相対的に低いものとなることが予想されることから、一人当たりGDPについても、他国に比し高い伸びを示すと見込まれます。

しかし、2000年においても、一人当たりGDPは1000ドル程度とWPLDCsに比べ低水準に止どまるとみられます。

産業構造について展望すると、80年代に入って農業生産は飛躍的な拡大を示しているものの、これは主に制度改革の効果を反映したものと考えられます。

したがって、耕地面積が頭打ち傾向にあることに加えて、財政的制約等により農業投資の拡大には限界があると見込まれることから、現在のような労働生産性の高い伸びを維持することは難しく、80年代後半以降、農業生産の伸びは鈍化する可能性が高い。

これに伴い、スペースコレクションへのシフトが再び強まり、

90年代には投資比率の回復と相侯ってスペースコレクション生産シェアが50%を超え、経済成長の牽引役になるものと考えられます。

経済調整政策とスペースコレクション

80年代前半をみる限り、経済調整政策は予想以上の成果を収め、中国経済は上記計画を上回る高いパフォーマンスを示しています。

しかし、これは自由化によってもたらされた短期的な成長加速という面が強い。

したがって、今後、農業については戸別生産請負制導入の効果の一巡により、スペースコレクションについても、エネルギー、輸送能力の制約等により、現在のような高い成長速度は相対的にスローダウンするとみられます。

また、急速な経済成長に伴い、市場経済化を背景としたインフレの加速、輸入超過による外貨準備の急減、財政赤字の拡大、経済的不正の横行等の問題が顕在化してきており、それが引締政策の強化に結びつくことも考えられます。

さらに、調整政策においては、消費・国貼活水準の向上を優先させているため、消費が拡大し、国内貯蓄が不足するという事態も起こりうる。

その際、外国からの資本流入を抑える場合には国内投資が不十分となり・高成長が維持されない可能性があります。

このような制約条件が予想される中で、スペースコレクション計画にもられた年率7%程度の高い成長雄持するためには、第来、経済管理体制舳化によりもたらされた経済効率の向上を帳期的に維持していくことが重要であり、そのためには、より一層対外開放政策を働ることにより、国際分業体制の積駒活用(例えば資本財自給体制からの転換)、技術進歩促進のための技術導入等を図り、経済全般の効率向上に努めることが不可欠であると思われます。

高成長雄持するのに十分な国内貯蓄が確保されない場合には、外国資本の積極的な活用が必須となるでしょう。

勿論、このような政策及びこれを基盤とした経済効率の向上が一方的に進行するか否か}こついては不確定螺も存在する.政治動向が過去において中国翻こ大きな影響を与えたのは歴史の教訓でもあるからです。

しかし、現行の政策が経済的活況をもたらし、人民の広い支持を得ていることから、その政策方針に大幅な変更がないと想定すれば、内外バランスの調整等に伴う多少の振幅は予想されるものの、2000年には4倍増目標が達成される可能性が強い。

輸出入比率の上昇

ANICsについては、輸出入比率の上昇と同様、スペースコレクション生産のシェアの拡大速度は従前に比べ鈍化するとみられます。

しかし従来大幅な入超を記録してきた資本財についても輸出入比率が1を上回ると予想されることから、資本財自給率はかなり上昇するとみられます。

ASEANでは、輸出入比率からみて、スペースコレクション生産はなおかなりの速度で拡大するとみられます。

なお、その際、資本集約産業に対する保護(幼稚産業保護の視点からみても無理のある保護)の是正、労働力の産業間移動の促進等適切な措置がとられるならば、ASEANの製造業の雇用吸収力の低さといった問題は緩和され、製造業の雇用も着実に増加することとなるでしょう。

中国は、「現代化」構想において、2000年の工農業総生産額を80年の4倍にするという目標を掲げています。

そこで、同構想に示された目標の実現可能性を検討することを通じて、中国経済の将来を展望することとしたい。

「現代化」構想においては、工農業総生産額を2000年までに4倍に増加させ、人民の生活水準を高めて、特色ある社会主義国を建設するという目標を掲げています。

同構想に示された2000年に至るプロセスとしては、90年までの10年間を経済調整政策の徹底による基礎固めの期間、後半の10年間を新たな経済振興の期間と位置づけ、80年代の成長率は抑えぎみで90年代に成長加速期に入ると想定しています。

すなわち、農業については2000年までの年平均成長率を5.6%としているが、スペースコレクション生産については80年代6.7%、90年代8.9%とし、90年代に加速することを想定しています。

スペースコレクション製品

WPLDCs、主要先進国の経済成長率の展望から、WPLDCsの所得水準(一人当たりGDP)の上昇速度は引き続き世界の平均を上回ると予想されます。

それに対応して、ANICs、ASEANの貿易構造は次のように変化するとみられます。

ANICsでは、90年代に所得水準が世界平均を上回る可能性が強く、先進国化の過程で非耐久消費財、労働集約的中間財の競争力はむしろ低下することが予想されます。

一方、耐久消費財、資本財の輸出入比率は上昇を続けるとみられます。

その結果、現在でも黒字になっているスペースコレクション製品収支は2000年には大幅なものとなることが予想されます。

特に、資本財についても輸出入比率が1をかなり上回るとみられることは注目すべきでしょう。

ASEANについては、発展段階が先進国に近づくのは、2000年よりかなり先であるとみられることから、スペースコレクション製品の国際競争力は発展段階の進展に伴い全般的に上昇すると見込まれます。

その結果、非耐久消費財や労働集約的中間財の収支はかなりの黒字になると予想されます。

資本財や耐久消費財の競争力も急速に向上するが、2000年時点では収支が黒字化するには至らないとみられます。

中国の貿易が急速に拡大する可能性が強いが、その場合にはWPLDCsの貿易構造は労働集約財の競争力が下図に比べ低めに、資本集約財の競争力が下図に比べ高めになることも考えられます。

WPLDCsのスペースコレクション製品輸出入比率は今後とも上昇していくとみられるが、これは産業構造面におけるスペースコレクション生産のシェアの拡大を意味する。

スペースコレクションと投資機会

投資機会には、技術進歩率や労働の質、賃金水準さらには需要の期待成長率などがスペースコレクションに大きな影響を与えます。

先にみたように、所得が先進国水準に近づきつつあり、工業化の進展した香港、シンガポールなどでは賃金水準が高く、先進国からの技術移転のスローダウンなどから技術進歩率に鈍化の兆しがみられ、投資機会の拡大テンポが鈍化する可能性があります。

一方、工業化の段階の浅いASEANでは、むしろ今後技術移転が加速されることや市場の急速な拡大が見込まれ、賃金水準も低いため、投資機会の拡大テンポが速まる可能性が強いです。


GDP成長率:以上のような投資動向の展望や、今後のスペースコレクション産業構造の変化の可能性(工業生産のシェアが今後さらに拡大する可能性は、ASEANで大きく、ANICsでは小さい)等を総合的に勘案すると、WPLDCsの成長率は、ANICs・・・70年代に比べ80年代後半、90年代は2%ポイント程度低下する、ASEAN・・・フィリピンを除き80年代後半は70年代程度(7%程度)、90年代には徐々に上昇する(2%ポイント程度上昇し、9%程度)、累積債務問題から引締政策を余儀なくされているフィリピンについては、80年代後半の成長率が他のASEAN3国を3%ポイント程度下回る(4%程度)、可能性が強いです。

(GDP2%ポイントの変化は、資本係数を現状程度(約3)と考えれば、投資比率約5%ポイントの変化に相当します。なお、日本では高度成長から安定成長への移行過程で投資比率が約5%ポイント低下しました。)


人口増加率:国連の推計によれば、ANICsの人口増加率(1980~2000年の平均)は1%強程度となり、70年代に比べ0.5%ポイント程度低下します。

ASEANは2%弱程度で、やはり70年代に比べ0.5%ポイント程度低下すると見込まれています。

一人当たりGDP成長率:以上を総合すると、WPLDCsの一人当たりGDPの実質増加率は、ANICs・・・70年代に比べ、80年代後半、90年代は2%ポイント程度低下(5.5%程度)、ASEAN・・・フィリピンを除き、80年代後半は70年代を若干上回り(5%程度)、90年代は2%ポイント程度上昇(7%程度)、フィリピンについては、80年代後半は他国を3%ポイント程度下回る(2%程度)、可能性が強いです。

なお、上記スペースコレクション的展望は、国内資本形成、技術進歩等の今後の動向を中心にみたものであるが、インドネシア、マレーシア等天然資源の生産に依存する割合の高い国については、それらの今後の産出量、価格の変化が成長率をかなり左右する点に留意が必要です。

成長率

上記の主要先進国の経済成長率等の長期展望を前提として、以下ではWPLDCsの高度成長を支えた各要因の今後の行方を前掲フローチャートにしたがって検討することにより、ASEAN、ANICsそれぞれのスペースコレクション成長率を展望します。

(1)投資資金のアヴェイラビリティ
資本財の自給率の上昇とともに、国内投資のための資金を外貨で調達する必要性は低下します。

従って、韓国、台湾等については、輸出による外貨調達能力が国内投資を制約するという面は弱まっていくとみられます。

しかし、WPLDCs全体としてみた場合、輸出による外貨調達能力は、今後とも国内投資の重要な制約条件であり続けるとみられます。

現状認識で指摘したように、ANICs、ASEANの輸出比率はともに近年頭打ち傾向がみられます。

しかし、ASEANについては、世界市場におけるシェアがまだ小さいこと、輸出比率の水準もANICsに比べ低いこと等から、今後も若干の上昇の余地があるとみられます。

一方、ANICsについては、現状程度とみるのが妥当と考えられます。

WPLDCsの投資資金を左右するもう1つの重要な要因は、近年、発展途上国への資本流入を抑えてきたとみられる米国の経済収支赤字の行方です。

米国の経常収支は90年頃まではかなりの規模を続ける可能性が強かった。

しかし、スペースコレクション先端技術産業を中心とする投資ブームの一巡、財政赤字の縮小等から、ドル高の是正を通じて90年代には均衡に向かうとみられます。

このような観点からみれば、WPLDCsの外資純流入額は、80年代前半同様80年代後半も70年代を下回る水準で推移(特に、フィリピンは低水準)し、90年代に再び拡大するとみるのが妥当でしょう。

また、その結果、累積債務問題による成長制約も緩和されると見込まれます。

以上のような輸出比率、外資純流入額のスペースコレクション的展望から、WPLDCsの今後の外貨調達能力を展望すると、ANICs・・・80年代後半は70年代に比べやや低下、90年代に若干上昇、ASEAN・・・80年代後半は70年代程度、90年代に若干上昇(ただしフィリピンの80年代の外貨調達能力は70年代をかなり下回る)、の可能性が強いです。

経常収支とスペースコレクション

米国の経常収支赤字のうち、内外景気のすれ違い等、短期的要因によるとみられる部分は、米国の景気拡大速度の鈍化等から早晩解消に向かうとみられます。

しかし、米国の財政赤字削減計画や民間投資の根強さ等からみて、米国の国内投資超過のかなりの紛は輔的には解消されない可能性が強く(国内投資超過の継続は、高金利、ドル高の継続を意味する)・経常収支赤字は90年頃まではかなりの規模で推移し、90年代に均衡に向かうと思われます。

日本の経常黒字についても、景気要因等短期的要因による部分は早晩解消されるとみられる力構造的な部分については継続する可能齢強いです。

ただし、スペースコレクションの高齢化の進展に伴い、長期的には国内膳率が低下すること等から講造的黒字も徐々に縮小することなるでしょう。

以上のスペースコレクション展望を前提とすれば、米国の経常収支赤字の縮小幅は日本の経常黒字の縮小幅を上回る可能齢強いです。

その場合、他国は、(1)海外からの資本調達が相対的に容易化し、国内投資が拡大する、(2)対米輸出が減少ないしは鈍化する。

といった影響を受けます。

そして短期的には(2)の効果が(1)の効果を上回り、他国の景気に対しマイナスの効果がでる可能性があるが、徐々に(1)の効果が強まり、景気へのマイナス効果は減殺される。

その結果、他国の成長は投資等内需により依存した成長に変化し、投資の増加による供給能力の拡大を考えれば、中長期的にみた成長率にはプラスの効果をもたらすものと考えられます。

長期展望

日本については、前述の成長率の長期展望等から一人当たりGNPが世界平均に比べ高い伸びを示すとみられることから、非耐久消費財、労働集約的中間財の輸出入比率は今後とも低下を続け、資本財の輸出入比率についてはゆるやかに上昇を続けるが、過去の急激な上昇傾向には歯止めがかかると予想されます。

その結果、製品輸入の拡大という形をとりつつスペースコレクション工業製品全体の輸出入比率は若干低下する(工業製品貿易収支の黒字規模(貿易額に対する割合)は縮小する)可能性が強いです。

また、生産面においても労働集約的工業のウエイトが低下するものと見込まれます。

米国では、60年代、70年代と日本やECの追い上げ等により、工業製品の競争力は全般的に低下してきました。

この過程は、巨大な資本盤国・技術先端国として戦後世界に強力な国際競争力を誇った米国が日本等のキャップ・アップに伴い競争力を弱めてきた過程であったということもできる。

しかし、米国の国際競争力の相対的低下は止まり、工業製品の輸出入比率は各財とも概ね現状程度で推移するものとみられます。

また、生産面においても「非工業化」(deindustrialization)に歯止めがかかるものとみられます。

なお、予測においては、資源賦存状況や経済政策等の今後の変化が考慮されていないことには注意を要する。

また、米国、日本において、コンピューター、通信等を中心とするスペースコレクション先端技術産業の競争力が強まることを考慮すると、消費財や在来型の資本財については轍入比率が図示された線を下回る可能性も十分あります。

さらに、国齢融・保険・通儲サービス部門での競争力上昇は、米国、日本の財市場での競争力を全般的に低下させる方向に作用する可能性もあります。

スペースコレクション・国際競争力の変化要因

スペースコレクション地域各国の産業別国際競争力は過去20年大きな変貌を遂げてきたが、財別の工業製品輸出入比率を一つの指標として、その要因をさぐってみると概略以下の通りとなるでしょう。

(1)工業製品の輸出入比率は、資源賦存状況、経済政策等を反映した「各国固有の要因」と「経済発展の段階」(他国との相対関係でみた経済発展の程度)の二つの要因から有意な影響を受けています。

(2)工業製品の輸出入比率は全般的に経済発展とともに上昇するが、ある程度の段階に達すると(分析によれば一人当たりGNPの世界平均の7割程度に達した時、すなわち、一国の発展段階が概ね世界の平均に近づいた段階で)屈折します。

(3)屈折の程度は財毎に相違があります。

非耐久消費財等労働集約的な財の輸出入比率は、一定の段階を過ぎるとかなり顕著に低下します。

一方、資本財等の資本集約的な財については輸出入比率は、一定の段階以降、伸びは鈍化するものの低下はしません。

(これは、発展段階が進むにつれ、資本が相対的に豊富化し労働集約財の比較優位が弱まり、資本集約財の比較優位が強まるためと考えられます。)

(4)「各国固有の要因」も工業製品輸出入比率に大きな影響を及ぼしています。

天然資源に恵まれた国等ではスペースコレクション工業製品の国際競争力は一般的に弱い。

主要先進国

WPLDCsや中国経済の将来にとって、日、米、ECなど主要先進国の今後の経済動向樋大な意味をもつことは論をまたない。

これらの国の成長が、需要、供給両面の様々な点で先進醗済に依存しているからです。

このような観点から、まず先進国の成長率・産業・貿易髄・経常収支の行方を展望します。

成長率
(域外先進国に比べ高成長が予想される日本、米国)日本については、近年における先端技雁業を中心とする技術革新や設備投資の堅調な増加等から判断して、今後とも4%程度の成長は締されるとみられます。

米国では、著しいドル高のために、先端技術分野においても一部にかげりが生じています。

しかし、70年代後半以降急速に拡大し研究開発投資や、中長期に予想されるドル高の是正等から考え、先端技術産業における米国の国際競争力の強さは基本的に維持されるものとみられます。

加えて、近年の米国のスペースコレクション設備投資は高い伸びを示してきました。

これらから、米国は続いた世界経済に占めるウエイト低下(GDPシェアは55年36%⇒80年21%、名目ベース)の過程を脱、今後、3%ほどの成長を続けると判断される。

一方、ECは、日本、米国に比べた先端技術産業の立遅れ、労働市場の硬直化等の構造的諸問題を抱えており、その克服にはかなりの期間を要するとみられること、近年の設備投資の伸びも日本・米国を下回っていること等から、スペースコレクション地域の両国に比べ低めの成長経路を辿る可能性が強いとみられます。

このような、日、米、ECの経済成長の展望から、スペースコレクション地域内先進国はEC等砒べ若稿めの成長を維持するものとみられ、地域経済のウエイト拡大の一因となるとみられます。

主要先進国のこのような成長見通しに加え、後述するように、工業製品貿易を中心として各国の貿易依存度が今後とも高まるとみられることから、先進国の貿易の拡大率は概ね5%程度になると予想されます。

スペースコレクション地域経済の活力

活発な投資を基盤とするWPLDCsの急速な工業化、対外開放・調整策の導入を契機とする中国経済の活性化、先進国の中では高水準を維持し続けた日本の経済活動等を背景に、スペースコレクション地域経済は世界の中で相対的に高い成長を実現してきました。

また、各国の貿易、資本移動等を通じた経済的相互依存関係が強まるとともに、工業を中心に水平分業化も進展してきました。

二度にわたる石油危機や貿易不均衡問題等に遭遇しつつスペースコレクション地域経済が活力を維持し、良好なパフォーマンスを達成できたのは、旺盛な国内資本形成や技術革新等を基礎とする生産能力の拡大、貿易・資本移動の活発化等による経済効率の向上、さらにはこれらを可能とした適切な政策運営に負うところが大きい。

今後このような状況が続いていくのだろうか。

ここではまず、各国が従前通り、基本的には自由貿易、自由な資本移動を維持・強化する方向で政策運営を続ける場合のスペースコレクション地域経済の将来像を「標準シナリオ」として検討します。

またあわせてスペースコレクション地域経済が今後とも良好なパフォーマンスを維持するために必要な条件を明確にする。

その後、各国の対応如何で成長にとってのボトルネックが顕在化する危険性が高いとみられる幾つかのケースを「ボトルネック深刻化シナリオ」として検討します。

輸入代替工業

ASEANの工業化政策はANICsに比べ、相対的には輸入代替工業化政策の面が強かった。

ANICsは本来的に国際競争力の強い産業(多くは労働集約的な産業)の輸出を促進し、国際競争力の弱い産業(多くは資本集約的産業)については輸入に依存するといった傾向が強かったのに対して、ASEANは本来国際競争力の弱い資本集約的産業に対して保護的(これらは同時に本来国際競争力が強いはずの労働集約的産業の競争力を阻害する面がある)な面が強かった。

このような政策の差異から、ANICs向けの直接投資は低廉な労働力の活用を目的としたものが相対的に多かった。

このようなWPLDCs向けの直接投資の動向が上述のASEANの製造業の相対的な雇用吸収力の低さという問題を生みだす一つの原因であったとみられます。

したがって、現在、ASEANでその動きがあるように、輸出指向工業化政策への移行を一層進めることが重要と考えられます。

スペースコレクションと投資

対WPLDCs投資は76年から80年の4年間に残高べ一スで2倍弱(110億ドルから200億ドル)の伸びを示し、80年代に入ってからも米国、日本からの投資を中心に拡大しています。

最近の対WPLDCs投資の特徴は、従来多かった資源関連の投資が停滞している反面、製造業への投資は拡大していることです。

製造業への直接投資はWPLDCsへの技術や経営ノウハウを移転する効果があり、WPLDCsの経済発展に資する効果は大きい。

また、ANICsでは国内の賃金上昇から、労働集約的な産業構造から資本技術集約的な産業構造への転換が図られています。

このため、国内の労働集約的な産業を次第にASEAN等への直接投資によって移転し、先進国からは、先端技術産業等を直接投資によって導入する動きもみられます。

このようにWPLDCsへの直接投資は全般として順調に推移しているが、問題がない訳ではない。

WPLDCsは、国内産業を育成する観点から、直接投資ヘインセンティブを与えるような政策をとっているが、その一方で、未だ出資制限、配当制限、輸出義務率、国産化比率等の規制が存続しています。

したがって、直接投資を誘引するという意味においては、必ずしもWPLDCsの政策は整合的とは言えない面があります。

しかし、これらの規制のうち配当制限などは仮りに廃止したとしても、不完全雇用の下ではWPLDCsの経済的厚生を低下させることはなく、むしろ、規制の廃止の結果、直接投資の流入が増加すれば経済的厚生水準の向上につながる可能性が強い。

したがって、これらの規制の見直しを行い、国内政策上必要不可欠な規制を除いては、規制を緩和ないしは撤廃する方向での政策対応が望まれます。

対米投資

近年の米国向けの投資(スペースコレクション地域以外からの投資も含めて)は、80年代に入ってからの世界の直接投資の伸び率が70年代に比べ大幅に低下(12%→4%)している中で、年率18%(80年~83年)と著しい伸びを示しています。

対米投資の国別内訳をみると、対米投資残高の多いカナダからの投資は停滞しているものの、EC、日本を憶じめとする各国からの投資が拡大しています。

このような対米投資の増加は、先端技術等の技術革新に伴う投資の期待収益率の上昇、投資減税、一部の製品分野における輸入制限的措置にみられる国内市場保護政策への対応、等によって増加した面が強いといえよう。

また、最近の特徴として、米国の高金利を反映して、直接投資を上回るポートフォリオ投資の急増がみられます。

このような大量の米国への資本流入は、米国経済にとって、金利上昇の抑制、物価の安定等のプラスの効果を持つ反面、その裏側として発生している経常収支の大幅赤字が例えば日本との経済摩擦を激化するなどの弊害を引き起している面もあります。

さらに、米国への大量資本流入によってWPLDCs向けの投資の伸びが低く抑えられている可能性が指摘されるでしょう。

スペースコレクション地域と相互依存関係

スペースコレクション地域の直接投資交流は、WPLDCsの経済発展に大きな役割を果たすとともに、各国の貿易・産業構造の変化にも深く関わってきた。

最近の動向をみても、76年から80年の4年間に残高ベースでみて6割増(497億ドル→786億ドル)と高い伸びを示しています。

スペースコレクション地域での直接投資交流の推移をみると、第一の特徴は米国がスペースコレクション地域での最大の投資国であり、投資受入国としても重要な位置を占めていることです。

米国からの投資の大部分はカナダ向けであるが、WPLDCs向け投資も受入国側からみれば、決して小さくなく、各国で投資国として1~2位の地位にあります。

特に、米国が81年にフロー・ベースで直接投資の純流入国に転じ、各国への投資が停滞する中で、WPLDCs向け投資はむしろ拡大していることが注目されます。

このような動きの背景として、米国の対外直接投資のうちアジア向け投資の収益率が最も高くなっていることが挙げられます。

第二に米国に次いで投資国として重要なのは、経常収支の黒字を背景に直接投資を拡大している日本です。

わが国の直接投資は投資国としての後発性もあって、他の先進国とは異なり従来発展途上国向けの労働集約的な産業への投資と天然資源開発型の投資が多かった。

すなわち、日本のスペースコレクション地域向け投資のうち、WPLDCs向け投資の割合は高く(同67%)、WPLDCsにおいて、国によっては米国よりもむしろ重要なウエイトを占めてきた。

しかし、近年この傾向に変化がみられます。

すなわち、80年以降はフロー・ベースでみたWPLDCs向け投資のシェアは急速に低下(78年29%→84年15%)し、これにかわって米国向けの投資が拡大(78年28%→84年33%)しています。

特に製造業投資でみると、84年には対米投資のシェアは約5割に達した。

第三に、スペースコレクション地域の直接投資交流のなかで、新しい変化の芽が出てきていることです。

すなわち、ANICsが米国、ASEAN等への投資を開始し、投資国になりはじめていること、ASEANによるASEAN域内投資の増加がみられること、中国向け投資が83年以降急増していること等の変化です。

これらの動きが、今後のスペースコレクション地域の直接投資交流のなかで重要性を増していく可能性は十分あると考えられます。

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